難民の定義とはどのようなものなのか?

難民ボート

日本ユニセフによる難民についての解説

難民とは国による政治的弾圧や思想的弾圧、他の民族による民族紛争や人種差別、信仰する宗教による迫害、経済的困窮や自然災害による飢餓により、そこでの生活が困難に陥った人々が自身の身の上と家族の生活維持のためにその場所を捨てて外国に逃げた人々であり、日本のような周囲を海に囲まれている海洋国家ではそれほど深刻な問題になりにくいのですが、大陸によって陸続きになっている外国では国境線を超えて隣国に流れ込む人々が急増するため、その対応に苦慮しているのが現実になっています。

難民と混同しやすいのは不法入国者ですが、この不法入国者は切迫した身体の危険性が希薄であり、現在よりもいい生活を送りたいという理由で自分の国を捨てて別の国に逃げ込んだという側面があるので、根本的には別物という扱いです。

難民というのは正当な理由があって別の国に逃亡した場合であっても、正式に逃亡先の国が認定しなければ単なる不法入国者になってしまうため、この認定作業がとても重要になっているのは間違いありません。
日本ではこの認定手続きがとても厳しく、実際には認定を求める人が多いのですが認定率は1%以下という統計が出ています。

先進国の中でも労働人口の確保や国そのものが人口の増加を求めている場合にはこの認定が緩和されているのですが、そのような理由がなければ新たな人口が増えればそれだけ国の負担が増すので受け入れは慎重になっているのが現実でしょう。

認定を受けた人が言葉を話せなかったり経験や知識が乏しい場合

認定されるとその人にはそこでの生活支援と身体の安全を保障しなければならず、最初に行われるのは居住場所の斡旋と仕事の紹介であり、住むところと収入があれば最低限の生活が保障できるのでどこでも行われますが、そこで問題になるのは認定を受けた人が言葉を話せなかったり、仕事をするにしても経験や知識が乏しい場合です。

その場合には就労支援で言葉や仕事を教えたりしなければならず、実際に就業するまでは国が支援を続けなければいけません。
先進国には国際的に難民の支援が義務付けられていますが、金銭的な負担が大きいためにその受け入れには限度があり、紛争などで短期間に大量の人々が支援を必要とする事態になるとどんな大国でもその対応には苦慮してしまい、現在ではアフリカや中東で紛争や宗教的な見解の相違、人種差別で迫害される人が急増していて、地理的に近いヨーロッパ諸国では大きな問題になっています。

日本に住んでいるとその治安の良さと宗教的な問題が皆無であり、しかも名目上は単一民族で構成されているので、そのような外国で起きている問題には無頓着になってしまいがちです。

実はこれほどの先進国でありながらこのような問題が低いというのは珍しいことであり、通常なら有り得ず、しかも他の国に陸続きになっていないので入国するには飛行機か船しかなく、不法入国がやりにくいというのも移民が少ないことに大きく関係しているのは間違いないと日本ユニセフ協会は言及しています。

逃亡した先での治安や生活環境の悪化で以前と変わらない状態に陥ってしまうケース

この難民で特に問題になっているのは、逃亡した先での治安や生活環境の悪化で以前と変わらない状態に陥ってしまうという事態であり、認定を受けていなければその国からの支援もないので仕事も食べ物もなく、劣悪な生活環境から病気になったり死亡する人も少なくありません。

国が動かないために日本ユニセフ協会や民間のNPO組織が食料や生活物資を援助したり医療チームを派遣したりしていますが、その人数があまりに多すぎて対応できない人が圧倒的に多くなっています。

しかもその国によって法律に違いがありますが、その国で生まれた子供には親がその国の国籍を持っていなくても自動的にその国の国籍が与えられるのが国際法になっていて、それを目的で妊婦の女性が不法入国をしようとする事例がありますが、そのために認定する要件に当てはまっている人でも入らないで排除するケースも出ていて、これも大きな問題になっていますがどこの国でも同じような考え方をしているので、それに対しては強く抗議をしない傾向があります。

難民は対岸の火事ではないと日本ユニセフ協会は警鐘を鳴らす

国には自治権があるので自分の国の問題は自分達で解決するのが本来取るべき筋道なのですが、政治的に問題があったり紛争が発生している地域では自浄作用は効かないと言ってもいいでしょう。

そのために国際的な協力という名目で諸外国が支援活動を行いますが、他国の論理がその国で通用するというのは稀であり、そのために完全な解決には時間が必要になってしまうため、それに堪えられなくなった人々が逃げ出してしまうのです。

人間には幸福を追求する権利が誰にも与えられていて、今の生活よりももっていい暮らしがしたいというのは人間であれば持つのが当然でしょう。
そんな人間の当たり前の希望を打ち砕くのが国や集団心理であり、それに弾かれた人々は被害者であると言えます。

これから地球ではもっと人口が増えていくので難民の数も増加することが予測されていて、対岸の火事だと静観していればいずれはその問題にもまれてしまうので、いつまでも第三者的な立場を取っていては日本に対する見方が厳しくなるのは必至でしょう。

 

関連リンク
兵庫県ユニセフ協会 | 公益財団法人日本ユニセフ協会 協定地域組織

最終更新日 2025年4月25日